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なぜ中央快速線に209系1000番台が転属するのか

車両動向

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209系1000番台が中央快速線へ転属することになり、既に実車が姿を見せています。中央快速線に増投入が必要な理由、209系1000番台の投入へ至る経緯を振り返ります。

この記事の最新版について

JR車両動向に移行し、下記の記事にまとめています。

中央快速線グリーン車連結に伴う動き
中央快速線、青梅線のグリーン車組み込みに関するE233系の車両動向をまとめています。

2018年10月に製作した動画

文章は下に書き起こしています。

なぜ中央快速線に209系1000番台が転属するのか(2018年10月)

中央快速線へのグリーン車連結が公式発表されたのは2015年2月です。
翌月には、2016年度から東京総合車両センターで「中央快速線E233系グリーン車組込準備工事」を始める、との組合資料が明らかとなりました。

2015年2月時点で中央快速線は58本配置・56運用でしたが、2015年5月には(青梅・五日市線向け)青459+659編成がH59編成に変更され、59本配置・56運用となりました。
ただし、変更後(2018年4月の公式発表など)もグリーン車の組み込み編成数は58本に抑えられています。

これは、同編成の転入がグリーン車組込準備工事に伴う改造工期の確保が目的だからです。
中央快速線は1年で約18編成が定期入場します。1編成増加するだけで、各編成の入場期間を(365÷18=)20日伸ばすことができます。

単純に言えば、この20日で、引き通しの追加などのグリーン車組込準備工事をすればよいのです。(実際には改造箇所の制約や、キロ調整によるロス、検査時期の偏り、定期検査との並行作業による工程短縮も影響してきます。)

しかし、その後グリーン車の連結計画が変更になります。
2017年3月、報道で連結の延期が明らかとなり、2018年4月にはサービス開始が2023年度末に変更となることが公式発表されました。
この公式発表に、車両動向が大きく変わる一文がありました。

「普通車へのトイレの設置」です。
そもそも、トイレの設置工事は非常に時間を要する改造の1つで、床板の補強や貫通扉の処理、車体のバランスを取るための床下機器移設など、工事量は膨大です。
これが並行施工できない1か所で発生する点が絶望的です。

多くの転用改造でトイレ設置がクリティカルパス(一番工期を要し、工期を決定づける工程の経路)となっています。
大宮での観察ブログなどを見ると、工期は約80日と思われます。

この80日をクリアするためには、通常の定期検査に被せて20日間を稼いだ上で、予備編成で60日程度を稼ぐ必要がでてきます。
つまり、予備編成は2015年3月に投入されたH59編成を含めて(60÷20=)3本程度、追加で2本程度が必要です。

先ほどの通り、入場期間により所要編成は変わります。
循環予備品の準備状況や、新系列検修棟への入場割合などを操作することで、ある程度の線区間調整ができることも考慮しないといけません。

また、機能保全や車輪削正の合間など、入場予備以外にも予備があるため、2018~2023年度に追加で必要な予備編成は1~2本と考えられます。
ところが、2018年度に他線区から転出できる形式が意外と少ないのです。

暫定転用では、置き換え中の車両を原資に転用するケースが多いですが、2018年時点での通勤車の新製は山手線向けE235系のみです。
既に山手線へのE235系投入による一連の動きは大枠が見えており、先頭車ベースで1~2本の不足すら見込まれています。

一方、常磐緩行線ではATOの搭載改造中の入場予備として、E233系2000代1編成(マト19編成)が2017年3月に投入されています。
ATO搭載改造が2018年秋に終了し、1~2本の余裕が出ることとなります。

その他、上野東京ライン開業後は、京浜東北線で1編成が余剰になっていると思われますが、2編成をまとめて供出できる可能性があるのは、常磐緩行線だけです。
この原資を元に、どう中央快速線の予備編成を確保すればいいのでしょうか。

例えば、209系1000代を武蔵野線へ移し、浮いたE231系0代を中央快速線へ移す案。
この案では、新規改造設計、線区の新規教育を2種類行わなくてはならず、その分のコストが直接転用より劣ります。

運用終了後にE231系0代を武蔵野線へ移さなくてはいけないため、大雑把に言えば、直接転用の3倍の転用改造が必要です。
この問題は、E233系などの他車を転用させる際も出てきてしまいます。

次に、E235系を製造する案。
タイミング悪く、2023年に投入されていると思われるE235系は全て近郊タイプ。制御装置などが変更される可能性が高いのです。

よって、2023年の転用時に改造コストが多額になることが見込まれ、ここでのコストを抑えた場合は、その後の維持コストが上がってしまいます。
E233系を新製しても同じことが言えます。

最後に、M車を単独で代車とする案。これも最後に余剰車や異端車が発生する結末が避けられません。
山手線では改造工期確保のために余剰前提でサハE235-4600形を2両新製していますが、基本的にはコストがかかる案です。

以上より、209系1000代の直接転用が一番コストが抑えられそうな印象ではありました。
しかしながら、車両の仕様差による運輸上の問題など、コストへの換算が困難な部分でデメリットがあり、決め手に欠ける状況でした。

そんな中、2018年5月の大宮総合車両センター一般公開で、209系1000代の転入を示唆する掲示が。
この件を境に、209系1000代の中央快速線転用が公然と語られるようになりました。

8月の入場時には、すでに玉突き転用を行う時間的余裕は無くなっており、直接転用を予測した方が多かったのではと思います。

タイミングが重なり、誕生することになった中央快速線向けの209系1000代。11月上旬には出場することになるでしょう。性能試験や教育を経て運用開始となります。
そして、運用開始と前後して、E233系0代のトイレ設置改造が始まることになるでしょう。

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