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千葉支社管内のワンマン化と今後の動き

車両動向

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内房線(君津以南)、外房線(上総一ノ宮以南)、鹿島線のワンマン化で、車両動向が注目されています。今までの経緯と、今後の車両動向をまとめます。

この記事の最新版について

JR車両動向に移行し、下記の記事にまとめています。

E131系・E235系の導入と209系の動き
北総・房総各線向けE131系の情報と209系の置き換え、山手線へのE235系投入に伴う八高川越線からの209系の転出をまとめています。

2018年12月に製作した動画

文章は下に書き起こしています。

千葉支社管内のワンマン化と今後の動き(2018年12月)

内房線、外房線、鹿島線のワンマン化が初めて外部に出たのは、2015年9月の組合資料です。
千葉支社が「房総南線や鹿島線でワンマン運転の導入」を計画しているとの記述がありました。

2016年11月には、「房総南線や鹿島線ではワンマン化に向けた調査が行われている」との記述が確認され、より具体的な動きが出てきたことが伺えました。

そして、2018年5月に発行された組合資料では、「2020年までに、内房線・君津以南、外房線・上総一ノ宮以南、鹿島線のワンマン化」が行われるとされ、具体的な時期、区間が明らかとなりました。

当該の労働組合では、過去に209系、211系、E257系の導入を、会社に先駆けて公開しており、今後の情報に期待したいところでしたが、今回は車両動向の情報を伏せているようです。
そのため、現状では様々な予測が広がっています。

そもそも、ワンマン化にはどのような形態があるのでしょうか。
従来のJR東日本であれば、3連以上の編成のワンマン化は選択肢に入りませんでした。
しかしながら、国内を見渡すと2連以上のワンマン運転は多数行われています。

まず、ホーム監視装置によるワンマン化です。旅客の乗降が確認できる監視装置を付けることで、3連以上のワンマン化が広く行われています。
例えば、大江戸線ではホームドアの無い時期も8連のワンマン運転を行っていました。

この方法は山手線や東北新幹線でも導入が検討され、更に将来の無人化の話も出ていますが、地上設備に多大なコストが必要です。
高い保安レベルが必要な混雑線区のワンマン化には必須の設備ですが、千葉支社の3路線では投資効果が得られないと思われます。

ここ数年、このコストを低減する「安全確認カメラ」の開発が進められています。
このカメラは車体から直接旅客の乗降を確認するもので、相対的にコストが安いと推測されます。

2018年までMUE-Trainのみに搭載されていましたが、2018年5月に指定保全で郡山へ入場したE531系カツK553編成に試験搭載されました。
また、2018年11月の組合資料で東北線の黒磯~新白河間が「中距離編成ワンマンのモデル線区」になっていることが明らかとなりました。

少なくともE531系、701系、GV-E400系でこの角度でのカメラ仮設試運転が目撃されています。
つまり、モデル線区となった東北線での試験が成功すれば、3連以上の他線区でもワンマン運転を行うことができるようになると予想されます。

以上より、現状では、①209系(4連)に安全確認カメラを搭載してワンマン化する方法、②209系後継車(4連程度)に安全確認カメラを搭載してワンマン化する方法、③209系後継車(2連以内)でワンマン運転する方法、の3つが想定できます。

まず209系に安全確認カメラを搭載する方法ですが、安全確認カメラは、ワンマン化すれば安全に直結する機器となり、高い冗長性を求められることになります。
209系の伝送路は約40 kbpsで、動画を複数配信するためには、伝送路を新設する大工事が必要です。

701系のような2度目の機器更新(リニューアル保全化)の可能性がある車両は別ですが、1993年から27年を経た車両には遅すぎる投資です。
投資を回収できるか厳しいところで、4連全車への波及は考えにくいです。

数編成を改造する可能性は残りますが、3線区全てとなると、完全な運用分離を考えても、必要本数は10本以上になるでしょう。
そもそも、(MUE-TrainはINTEROS搭載により条件が異なるため)設計自体を新たに行う必要がありますので、あまりコストが抑えられない印象です。

次に209系後継車(4連程度)に安全確認カメラを搭載してワンマン化する方法です。
現状、房総各線への後継車の導入はいつごろと予測できるでしょうか。

まず209系自体の経年です。209系の機器更新は2009年から2013年にかけて行われています。この更新から概ね13~16年後が妥当な置き換え時期になります。
廃車が本格化するのは2020年代中盤でしょう。

次に供給側です。組合資料で、宇都宮・高崎・東海道線へのE235系投入に関する記述があることが、2018年5月に明らかになっています。
この資料には「東海道・宇都宮・高崎線E231系転用に対しての時期及び改造計画」との記述があります。

東海道・宇都宮・高崎線ではE233系も運用されており、どの形式が転用されるか確定できないものの、E231系通勤タイプの一連の転用が終わると、E231系以前の形式では、千葉地区(幕張車両センター)の209系が最大所帯になります。

個人的には、宇都宮・高崎・東海道線へのE235系投入による、玉突き転用で、幕張車両センターの209系の置き換えが行われる可能性が高いのではと思っています。

数編成を転属させる可能性は残りますが、ワンマン化が可能になる半面、運用が複雑化することによる、要員増、車両増が見込まれます。
要員はともかく、車両増は避けたいところです。

更新機器の償却の面からも、供給側の面からも、置き換え時期は2020年代中盤となりそうです。
置き換えは2020年のワンマン化には間に合わないでしょう。

以上より、2連以内のワンマン車を導入する可能性が近年注目されてきています。
大きく、架線を剥がして気動車化する方法、E129系電車を導入する方法、新形式電車を導入する方法が、巷で見られる噂です。

まず、気動車にする方法です。
この方法なら内房線では地磁気対策の高コストな地上設備を捨てられますが、現状、鹿島線にはELが入線しますし、内房線、外房線は特急車が引き続き入線する区間です。
東北線のような他路線の間合い運用も組めないため、難しそうです。

次にワンマン対応の電車を導入する方法です。
現状最新の形式はE129系ですが、E129系より後に導入された新型車両には大幅な要求仕様の変化が発生しています。
その理由は状態基準保全(CBM)の拡大です。

従来は、一定の時間ごとに部品を解体検査する時間基準保全(TBM)が鉄道業界の常識でした。
しかし、実際には電子機器を中心に、解体検査しても故障の予兆が掴めない部品も多く、このような部品では、時間を区切った解体整備が故障防止に寄与しません。

CBMでは、このような解体検査が不向きな部品に対して、モニタリングにより、故障の予兆を直接検知することで、最適なタイミングで修繕を行うことを目指しています。
特にE235系は、2018年6月に、従来の「新保全体系」から「モニタリング保全体系」へ移行しました。

その他、E7系、E353系、GV-E400系にCBM技術推進プロジェクトチームが設置されています。
これらの車両では、例えば、機器状態監視用の伝送回路を新設するなど、モニタリング保全体系の導入、CBMの拡大、TBMの縮小へ向けた準備が行われています。

このような検査体系の変更があると、検査体系の古い車両は最小限の両数に留めることが考えられます。
後年新保全体系が適用されることになる、209系、255系が導入された時も、継続新製を避ける動きが見られました。

「モニタリング保全体系を見越した新型車両」と「E129系の継続」では、どちらの可能性が高いでしょうか。
これは今後の新製両数が一番重要でしょう。数十両で終わるなら、わざわざ新形式を起こさないでしょうし、今後も他線区を含めて作り続けるのであれば、新形式が確実でしょう。

2018年11月現在、巷では、209系の改造説がやや弱まり、2連以内のワンマン車の投入説が優勢になってきたものの、新形式となるかどうかは、まだ見解が分かれている状況かと思います。
ワンマン化まで2年となり、千葉地区から目が離せなくなってきました。

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