前編に続きまして、北海道の旅行記を投稿いたします。当方の私用で間隔が大幅に開いてしまったこと、大変申し訳ありませんでした。後編ものんびりと投稿していきます。
さて、札幌国際YHで目を覚ますと12月24日。札幌駅に向かい、函館線に乗って滝川へと進みます。
滝川では引退直前の711系がお出迎え。最後に出会えて幸運でした。
滝川からは日本最長時間の鈍行列車「2429D 釧路行」に乗り込みます。車内は観光客も多いですが、地元の方もある程度いらっしゃいました。
2429Dは8時間27分かけて根室線をひたすら東に行く列車ですが、今回は列車自体が目的ではないので富良野でお別れです。途中、赤平や芦別といった炭鉱で栄えた町を通ります。
富良野線を乗りつぶすため、富良野からいったん旭川まで向かいます。
富良野線は富良野から旭川まで54.8kmという比較的短い路線ですが、富良野やラベンダー畑のある中富良野や上富良野、「日本で最も美しい村」の一つ美瑛など観光地をいくつも経由する路線です。
私も富良野線を乗りつぶして、折返して美瑛に行きました。
美瑛の駅に到着して、夕暮れまで時間があったため「ケンとメリーの木」を観るために歩きました。
「日本で最も美しい村連合」の事務局が置かれている美瑛は、丘陵地帯の美しさで知られる北海道屈指の観光地です。しかし、冬に観光する人は少なく、無人の道路をひたすら歩きます。
粉雪舞うなか、美瑛ポテトの丘YHに到着しました。
ポテトYHは丘陵にある小さなユースで美味しい食事を頂いた後、他のお客さんと話しこみました。常連さんが自分と同じ市に在住していたことには驚きました。
12月25日、世間がクリスマスと騒ぐ中、美瑛YHから美瑛駅まで送ってもらい富良野線に乗車します。
富良野線内は普通列車ですが、根室線に入ると快速「狩勝」となり帯広まで向かいます。
駅前で1日遅れの「クリスマス・イブ」が流れ、年末を実感します。
帯広からは国鉄広尾線代替バスの十勝バス広尾線に乗車します。かつて一世を風靡した「愛国→幸福」もこの広尾線の切符でした。帯広市街を抜け、人口増える中札内、更別と進みます。乗客もだんだん減り、国鉄時代の駅舎が残る忠類では一時休憩のため停車しました。帯広から2時間強、広尾線の終着地広尾で下車します。
広尾は哀愁漂う素敵な町でした。東京の混沌としたその広尾とはまったく別の、旅人をどこかで受け入れてくれるそんな気がしました。
広尾で下車したのは私一人だけ。乗客の多くは広尾の他の停留所で降りるのでしょう。JR北海道バス日勝線に乗り込みます。
17時きっかり発車の日勝線に乗客は私一人だけ。17時という普段なら何気ない時間も、真っ暗で孤独に付け込んでいるようでした。
広尾からおよそ1時間。襟裳岬を手前に岬小学校前停留所で下車し、民宿「仙庭」に宿泊します。
かつて「北海道三馬鹿ユースホステル」として桃岩荘YH、知床岩尾別YHと並んで旅人のあいだで有名であったえりも岬YHは民宿「仙庭」と名前を変えて営業していました。女将さんが人懐っこく評判の宿で、真っ暗のなか停留所まで迎えに来てくださいました。
1970年代の全盛期は200人も泊ったという宿も、2014年の今は宿泊者はやっぱり自分一人だけ。一人旅にも慣れてきました。ジンギスカンを女将さんと食べ、床に就きました。
12月26日、早朝降っていた雪が幸運にも止み、襟裳岬まで歩きます。
襟裳の春はなにもない春です。森進一の「襟裳岬」に歌われたころ襟裳の観光は全盛期だったといいます。
この現代、冬に襟裳岬に行く物好きはおらず、岬を独り占めできました。物産館のような観光センターに掲げられた日付は1か月前のもので、自分がいまいるこの時が分からないようなそんな気もしました。
岬に別れを告げ、「仙庭」に戻ります。朝食は頼んでいなかったのですが、ご飯を御馳走になりました。
伝統の大漁旗によるお見送りを受けて、日勝線に再び乗車します。いつかまた戻ってくるんだと、そう確かに思えた気がします。
旅の一番の目的を果たしたような気がして、バスのなかでは眠りに落ちていました。
日勝線の終着は様似なのですが、様似営業所が最後の停留所で日高線に乗り換えるには様似駅で降りる必要があります。そんなこともすっかり忘れて寝てしまい、様似駅で女子高生に偶然「下車しますか?」と聞かれて助かりました。あのまま営業所まで行ってしまい、日高線を乗り過ごしていたら、何が起こったかあまり想像したくありません。感謝感謝です。
旅の疲れがたまってきて、日高線では覚醒と睡眠を交互に繰り返していました。昨年(2013年)乗っており、目新しさが無いと言い訳して寝てしまったのです。太平洋のすぐ横を走る日高線はそれが魅力でしたが、土砂流出で運休中になってしまいました。早期の復旧を祈ります。
苫小牧から室蘭線、石勝線夕張支線直通の夕張行に乗車します。
冬の北海道、日が暮れるのは早いもので追分あたりでは真っ暗でした。
新夕張から一駅の沼ノ沢という駅で下車し、夕張フォレストYHの方にユースまで送迎していただきました。
夕張の畑作地帯にあるフォレストYHは新しい小さなログハウスです。
宿泊者は名古屋からのライダーと私だけ。美味しい夕食を頂いて、床に就きました。
後編に続きます。